特徴

本ページでは,非対称三角尺度法の主な特徴について紹介します.

放射図

放射図(radial map)は,非対称三角尺度法によって,再現された失われた地図です.図中の赤い打点が,再現された各項目の座標です.オレンジの打点は,原点と赤点を結ぶ直線と半球面との交点です.

放射図において,正答率の高い項目ほど,半球ドームの頂点付近に放射線が配置されます.逆に,正答率の低い項目ほど,XY平面に対して水平になり,オレンジの打点の座標がドームの赤道付近に配置されます.また,各項目は,それぞれ依存する項目の下に潜り込むようにして配置されていきます.

地勢図

地勢図(topographic map)は,放射図をもとに,より項目間の従属関係を視覚的に理解するために使います.まず,放射図のオレンジの打点をXY平面に射影します.次に,その射影された点について,ボロノイ分割を行います.最後に,分割された領域を,放射図におけるオレンジの線分の長さ(ほぼ項目の難しさに対応している)の分だけ,リフトしたのが地勢図です.

地勢図では,正答率の低い項目ほど円の中心に,正答率の高い項目ほど円の周辺に位置しています.また,各項目は,それぞれ依存する項目の外側に配置されていきます.地勢図のほうが,放射図よりも項目間の従属関係構造を視覚的に把握するのに適しています.

習得図

習得図(mastery map)は,各受験者に対して得られます.地勢図によって分割された領域について,各受験者が正答した項目と誤答した項目が色分けされています.

たとえば,左上の受検者は,やさしい項目ばかりに正答することができた比較的学力が低い受験者です.赤く塗られた領域が中心に集まっていることは,学力段階が低いことを示しています.逆に,すべての項目に正答できた受検者は,地図の全領域が色づけされます.色づけされた領域が,中心から周辺まで満ちている受検者ほど,その受験者の学力が高いことを示しています.真ん中上の受検者の習得図は,図の左下の学習領域については,マスターしたと言ってよいでしょうが,地図の上から右にかけての学習領域については訓練が足りないことが分かります.習得図は,個々人の正答誤答によってさまざまな形を示します.